風邪を治す薬はない?

風邪の時になぜ薬を飲むの?

ウイルス感染には特効薬はありません。世界中どこを探してもウイルスが原因の風邪を治すお薬は存在しません。薬を飲ませたからといって治癒するものではないということをしっかりと認識してください。

薬も飲まずにどうやって治すの?と疑問に思われる方も多いでしょう。ウイルス感染によって引き起こされた症状を和らげる薬を飲みながら、自分の免疫の力で治すしか方法はありません。ウイルス感染によるものと診断して、処方するお薬には以下のようなものがあります。

 

●アスベリン(咳を和らげる)

 ※ 咳自体は異物を外に出す作用がありますので悪いものを外に出す現象を止めてしまうことは逆に病気を悪化させる可能性もあります。また、このお薬を飲んでも、咳がピタッと止まるものではありませんのでご注意ください。

●ムコダイン:一般名カルボシステイン(気道の粘液の調整作用:痰切り、粘膜の正常化作用)

●ムコソルバン:一般名アンブロキソール(気道粘液の分泌促進:痰切り)

●トランサミン(炎症を抑える作用)

●ビオフェルミン、ミヤBM(腸の細菌のバランスを整える作用)

●コカール、カロナール:一般名アセトアミノフェン(一時的に熱や痛みを和らげる作用)

等があります。

 

 これらは、すべてウイルス自体をやっつけるものではなく、症状を和らげるだけのお薬です。薬を飲んだからと言って風邪自体が治るわけではありません。ウイルス感染の風邪と診断を受け、処方されたお薬は必ず飲まなければ治らないわけではありません。症状が和らぎ、水分が取りやすくなったり、眠りやすくなったりするといった程度と考えてください。

 

 上に書いたお薬を飲ませても風邪が治らない、また飲ませたから風邪が治ったということはありえません。しかし、風邪の中には経過中に細菌感染(ウイルス感染とは別の物です)による肺炎、気管支炎になったり、その他の細菌による病気が隠れていたりします。なかなか症状が治まらない場合にはそのような細菌の感染がないか、重症の感染症がないか、その他特別な治療が必要な病気がないかを判断しなくてはいけません。なかなか症状が改善しない場合には、そのような病気がないかを問診、診察、検査から判断しています。

 

 その上で重症なものがなさそうであれば、症状を和らげる内服薬を継続しますし、なにか細菌感染などが疑われる場合には、抗生剤やその他の特別な内服薬を処方する場合もあります。ウイルス感染の風邪に対しては、治すお薬はありません。

 

 これをしっかりと保護者の皆さんが認識していただきたいと思います。私たち小児科医は診察時に上に書いた重症な病気がないかを判断し、細菌の感染や重症な病気と診断した場合に抗生剤やその病気に必要な薬を処方しています。ウイルス感染による風邪に対して、多少症状を和らげたりして、体力の回復を助けてあげる薬のみ処方しています。ウイルス感染の風邪とはどんなものなのか保護者の皆さんがしっかりと認識してください。そうすることで、お子さんに対するケアの仕方が変わるはずです。

 

 薬に頼るのではなく、水分をしっかりとらせたり、しっかり眠れるように精神的なケアをしてあげたり、とりやすい食事を考えたりすることがとても重要なのです。風邪とは、くしゃみ、鼻水、のどの痛み、咳、痰に全身症状(熱、倦怠感、胃腸症状など)をきたした状態をいいます。風邪の原因は80~90%がは原因がウイルス感染です。ウイルスの種類は400種類以上あり、また、同じウイルスでも型が何種類もあるため、集団生活を始めたばかりの時はウイルス感染を繰り返します。

 

 ウイルス性の風邪の場合、抗生剤は効きません。特殊な場合を除いてが、稀なものをのぞくと自分の免疫の力で自然に治ります。抗生剤を飲むとき明らかに細菌感染症が疑われるときに抗生剤を飲む必要があります。抗生剤を飲む判断は、喉や肺の音などのほか診察所見に加えて、機嫌や顔色、周囲に対する反応といった全身状態、その年齢における疾患のかかりやすさ、必要に応じた検査の結果を総合して決めます。当院では、診察をして必要なら各種検査をおこない、できるだけの根拠を示して抗生剤を処方しています。