こどもの気管支喘息。​喘鳴の聞き分けと気管が狭くなる原因

気管支喘息と喘鳴(ぜんめい)​

気管支喘息(喘息)とは、呼吸が困難になるとともに、息を吐くたびにヒューヒュー、ゼーゼーという音が聞こえ、それらを繰り返す疾患です。

このヒューヒュー、ゼーゼーという音は医学的に「喘鳴(ぜんめい)」と呼ばれます。この「喘鳴(ぜんめい)」は息を吐くときに聞こえてきます。気管支の壁が厚くなり、気管支内の直径が狭くなった結果、息を吐くときに、勢いよく空気が通るため、まるで笛のようにヒューヒュー、ゼーゼーという音がするのです。

喘鳴の聞き分けが大切

診療で「ヒューヒュー、ゼーゼーしますか?」とお尋ねすると、「今もしています」とお答えになることがあります。実際に聞いてみると喘鳴ではなく、実は喉で痰が絡まっている音だったり、鼻づまりによる音だったりすることも多いのが現実です。

こういった痰がらみの音、鼻づまりの音は喘息のゼーゼーとは異なるものです。治療方法が大きく変わってきますので、ヒューヒュー、ゼーゼーが気管支喘息による音なのか、それとも痰がらみ・鼻づまりによる音なのかをしっかり区別する必要があります。

不必要な喘息治療を避けるために

保護者の方からの「痰がらみでゼーゼーする」という訴えを医師は喘息のゼーゼーと勘違いしている場合が多く、実は喘息ではないのに、喘息の治療がなされているケースがあります。つまり、そのこどもにとって不必要な薬が処方され、内服していることになります。

喘鳴(ぜんめい)がひどい時には、聴診器を使用しなくても、胸や口の近くに耳を近づけるだけでゼーゼーする音が分かりますので、ご自宅でも確認いただけます。

症状が軽い場合には、そのゼーゼー音が気管支喘息の発作による喘鳴(ぜんめい)なのかを判断する必要があります。判断するポイントとしては、

  • 息を吐くときに音がする
  • 気管支が狭くなっているので、息を吐きづらそうにしている
  • 息を吐く時間が吸う時間に比べ長くなっている

などを参考にしてください。

気管支喘息の診断・治療

キャップスクリニックでは、こどものゼーゼー音が気管支喘息による音なのか、もしくは痰がらみや鼻づまりによる音なのかを慎重に問診することで、正確な診断と治療を提供するようにしています。

喘息性気管支炎

3歳未満の子供はもともと気道が狭いので、気管支喘息でなくても、風邪をひいて気管支炎になっただけで、喘鳴(ぜんめい)があらわれる場合があります。これを「喘息性気管支炎(ぜんそくせいきかんしえん)」といいます。

特に、3歳未満のこどもが喘息であるかどうか診断するのはとても難しく、ゼーゼー音の回数や、他にアレルギー体質を持っているか、アレルギー症状が新たに出てきていないか等、いろいろな要素を検討しながら時間をかけて経過をみて、ようやく喘息であるかどうかが判断できます。

つまり、風邪をひいてゼーゼーしただけですぐに気管支喘息と診断はできないのです。診察に訪れた保護者の方から、「一回ゼーゼーしただけで喘息と言われた」とご相談を受けることがありますが、経過をみないとなかなか診断できないことをご理解いただければ幸いです。

喘息と喘息性気管支炎の見分け

小さいお子さまの喘息と喘息性気管支炎を鑑別する際には、アレルギー症状を伴っているかどうか、家族の中に喘息持ちの方がいらっしゃるかどうかなどを参考に診断します

【鑑別ポイント】

  • 食物アレルギーがある
  • アトピー性皮膚炎、アトピー体質などのアレルギー疾患がある
  • ご家族に喘息やアレルギー疾患の既往がある

※アトピー体質というのは、ダニ、ハウスダスト、動物の毛、フケ、カビ、花粉などの抗原(アレルゲン)に対して即時型アレルギー反応を起こす体質です。日本人では、年齢が低いほどアトピー体質は高い確率で認められ、小児喘息の患者さまでは90%以上がアトピー体質を持っています。

気管支喘息が起こる原因

気管支喘息のとき、体の中ではどのようなことが起こっているのでしょうか。気管支喘息では、

  • 気道の炎症
  • 気道の過敏性の亢進(刺激に過敏に反応しやすくなる)
  • 気道の狭小化(気道がせまくなる)

の3つが起こっています。

①気道の炎症

  • ウイルスの感染(風邪など)
  • アレルギーの原因になるダニ、ハウスダスト、カビ、動物の毛、フケなどの抗原を吸い込む

ウイルスやアレルゲンを取り込んだときに、気管支の粘膜で免疫反応を引き起こし、アレルギー性の炎症反応がおこります。これが長期間続くと慢性的な気道の炎症が起こっていきます。

②気道の過敏性の亢進(刺激に過敏に反応しやすくなる)

気道過敏性急に冷たい空気を吸い込んだり、急に走ったとき、大笑いした後、大泣きした後に喘息発作が出てしまう場合、気道過敏性が亢進していると考えます。

①気道の炎症が原因で気管に慢性炎症があると、気管の粘膜がいろいろなものに反応しやすくなります。皮膚でも、炎症がある場所を触るとヒリヒリしたり、感覚が過敏になっていることが分かると思いますが、それと同じことが気道にも起こっているのです。気道過敏性がどれくらい亢進しているかによって、喘息の症状の出やすさが変わってきます。つまり、気管支喘息の重症度と関わっているわけです。

③気道の狭小化(気道がせまくなる)

気道の狭小化喘息の場合気道が以下に挙げる原因から狭くなってしまいます。

  • 気管支粘膜が炎症によって腫れる(腫脹)
  • 痰が多量に出る(粘液栓形成)
  • 気管支の周りの筋肉が収縮する(気管支平滑筋収縮)
  • 炎症が繰り返されることによって器官壁が硬くなる(気管壁リモデリング)

気道が狭くなると、息を吐く通り道が狭いために喘鳴が出現し、呼吸が困難になります。長期間の炎症が続くと気管の壁が固くなったり、平滑筋という筋肉が分厚くなったりして、肺の機能が低下してしまいます。

小児喘息は慎重な診察が大切

小児喘息は小児期に、呼吸困難とともにヒューヒュー、ゼーゼーという音が聞こえ、それらを繰り返す疾患です。しかし、先天性の気道や心臓血管の異常に伴う喘鳴ではないか、気管支炎(喘息性気管支炎)、肺炎などの感染症による喘鳴ではないかなど本当に喘息なのかどうかを判断しなくてはいけません。

先程もお伝えしましたが、小児期の喘鳴はすぐに喘息と診断するのは難しいことを覚えておいてください。喘鳴の頻度、アトピー体質の有無、治療に対する反応性など様々なことを考慮し診断につなげていきます。かかりつけ医に通院し、的確な診断を受ける必要があります。
小児期には喘鳴がでてもすぐに喘息という診断にはなりませんので、ご注意ください。 正しい診断はお子さまの健康を守る第一歩です。

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